人が、怖い。

なんて、キミが授業中、渡してきた手紙の中に書いてあった。

友達みたいだな、と少し頬を緩めて、
こんな相談されてるときに何にやけてんだ
と自分を叱る。
そして世界が変わる。

…本当に人が怖いんだったら僕のことも怖いはず。ということは何が怖いのだろう。
僕は馬鹿だから、もう少し言ってもらえないとわからない。言いたくないことなのかもしれないけれど、敢えて訊ねる。…

喧騒が聞こえる。自分の世界から帰還してきたことを悟った。
手紙の返事。書かないと。

どうしたん?
何か、あった?

トントン、と指で机を叩く。キミの手が僕の机に伸びてくる。
不安げに開かれた手に、素早く手紙を掴ませる。
キミの手が戻っていった途端に、当たり障りのない応えしか返せない自分が悲しくなった。