忘れた

この子との関係を繋ぎとめる為に、自転車を置いて行けなんて言った。


俺は最低だ。


自転車なんて、俺の車につもうと思えばつめる。


だけど俺は、次に会う口実が欲しかった。


その子は奈緒という名前だった。


そして次に会ったとき、俺は初めてその子の顔をしっかり見た。


前髪は真ん中で分け、ちょっと離れ目だけど大きな目。スッと通った鼻筋に、ぷっくりとした唇。


とても可愛かった。


俺は思い切って2人乗りを申し出た。


奈緒は渋々後ろに乗ってくれたが、俺は嬉しかった。俺に触れないように気を遣ってくれているのがもどかしかった。


ファミレスで、奈緒は突然泣き出した。俺はてっきり、公園のあの男のせいだと思ったが、違った。


彼女は元々、闇を抱えていたようだった。


俺はなんと声をかけたらいいか分からず、とりあえずデザートを勧めた。


そうしたら、奈緒は笑ったんだ。花がパアッと咲いたように、可愛い笑顔で。


このとき、俺は自分の気持ちを確信した。


俺は奈緒のことが好きだ。