「ふうん。よく分かんねえけど。

助けるって、どういうこと?」


あたしは早水に、勇介が事故で記憶喪失になって、あたしのことを忘れてしまったことを話した。


「まじで? え、本当に?

記憶喪失とか、現実であるもんなんだ」


興味津々の早水に、あたしは俯き加減で答えた。


「そう。俺たち付き合ってるのか、って訊かれて…もう別れたって言っちゃった。

咄嗟に、思わず、言っちゃった」


「東…お前、馬鹿だな」


「うっさい」


「それでも、そいつが好きなのか?」


早水の問いに、あたしは力強く頷いた。それだけは譲れない。


早水は黙り込んだ。


そして、彼は思いもよらないことを言った。


「そいつに会わせて」


「ええ? 何でよ」


「じゃないと、お前のことを諦め切れねえ。

どんなやつなのか、この目で確かめてやる」


この言葉にあたしは心底驚いた。


早水はあたしのこと、そこまで思ってくれてたんだ。