忘れた

「いいから乗ってよー。それとも何、俺に恥かかせる気? 」


勇介は、わざとらしく口を尖らせた。これで断るのは、なんだか可哀想?


「分かったよ。重くても知らないから」


あたしは渋々、勇介の後ろにまたがった。


よくよく考えると、2人乗りなんて初めてだ。肌にまとわりつく生暖かい風を感じながら、あたしは新鮮な気持ちに胸がときめいていた。





しばらくして、あたしたちはファミレスに到着した。


「腹減った。飯食おう」


そういえば、あたし朝から何も食べてないや。


時刻は昼の2時過ぎ。店内はそれほど混雑していなかった。


店員に案内されたのは、4人掛けのテーブル席。あたしたちは向かい合わせに座った。


「俺、特製オムライスと海老グラタンに、海藻サラダと…あと山盛りポテトね」


「…あたしは夏野菜カレー」


この人どんだけ食う気よ?