忘れた

早水はハハハ、と力無く笑った。


「いいよ、もう。俺のせいで青団優勝出来なかったのは事実だし」


「ちょっと、いつもの早水らしくないじゃん」


あたしは俯く早水を覗き込んだ。


「おまッ、見んじゃねーよ」


慌てて手で顔を隠す早水。


「ふふっ、照れてるー」


冗談で言ったのに、早水はなぜか真っ赤になってしまった。


「誰がお前なんかに」


プイッとそっぽを向く早水。からかったから拗ねちゃったのかな。


こうなったら、全く関係ない話を持ち出そう。


「早水は、彼女いるの?」


「はあッ? 」


早水は素っ頓狂な声を出した。


「い、いねえよ」


「じゃあ好きな子は?」


「それは…」


言葉を濁す早水。これは、いるな?


「誰? 同じクラス? 先輩? 後輩?」


矢継ぎ早な質問攻撃に、早水はタジタジだ。


「…お前には、教えねえ」


そう、ボソッと呟いた。