誰に向けた言葉だったのか、なんてもう思い出せない。
私はまだまだ、背伸びをした子供だった。

『おかえり。』

キミの声は、緩やかな風に運ばれて、消えていった。
涙に濡れた頬をなぞり「馬鹿な自分は救えない」、と頭の中でそっと呟く。

だけど私は、「今」を踏みしめ、生きて行く。