相川さんは、ハンカチを額に当てたまま今日の予定を確認している。

「今日の午前は...あ、小林さん私が行くんだ。ね、幸ちゃんは会ったことある??小林さんと買い物に行くときに、最近カッコ良いお兄さんが挨拶してくれるのよー」

女子高生がアイドルの話をしているみたいのに、相川さんは目をキラキラさせている。

カッコ良い、お兄さん。
そういえば小林さんの知り合いのスーパーのお兄さんは爽やかな感じて...一般的にいったらイケメンなのかもしれない。

「うんと...スーツの人??」

「そうそう!!いつもコンビニのとこにいて、声かけてくれるのよ」

お化粧なおししなきゃ、なんて。相川さんはホントに女性らしくてかわいい。

「私も、一度だけ会いました。それ以降は小林さんの援助に入ってなくて見てなかったけど...」

「はぁ。目の保養よねぇ。最近のアイドルなんかより全然かっこ良いの」

「相川さんは、ああゆう...何て言うか、王子様みたいな人がタイプなんですね」

言いながらなんとなく、一度だけ会ったスーパーのお兄さんを思い出す。

長い手足に、整った顔。目元も涼しげで、あれで白馬に乗ってたらまさに王子様だ。

「そうなのよ~。一見華奢に見えるけど、しっかり筋肉もあるのよねぇ」

「よ、よく見てますね」