「お前、会わなくてよかったのか?」


繭花を見送り、今、隣にいる蓮が俺の肩に手を置く。


「あぁ。繭花は“一人で頑張る”って言ってるし。それに、別れたんだから、会えないだろ……」


繭花が歩いて行った後の出国ゲートを見つめ、俺は言う。


ちょうど1ヶ月前、俺は繭花と別れた。


だけど、俺は今でも繭花が好きだ。


そんな俺の気持ちを知る蓮が、今日の繭花が日本を発つ時間を教えてくれた。


繭花に会わない方がいいのはわかっている。


だけど、繭花が元気に旅立つ姿をちゃんと見届けたかった。


だから俺は、こっそり見送りに来たんだ。