笑顔でさよならを

蒼大に別れを告げた日。


蒼大の前では涙を堪えたけど、家に帰って部屋で一人泣いた。


でも、泣いたのはその日だけ。


だって、私が“別れて”って言ったのに、私が泣くのは違うから。


だから、それ以来は蒼大の事を考えても、泣いていない。


「あっ、時間だ」


私の乗る飛行機の案内放送が流れる。


「繭花、いってらっしゃい」

「頑張って!」


みんなが笑顔で言う。


「うん!行ってきます!!」


私は手を振って、出国ゲートへ向かう。