笑顔でさよならを

「それなら、蒼大に教えて貰えば?俺より頭いいぞ」


私からしたら、お兄ちゃんも十分頭がいいと思うんだけど。


お兄ちゃんがそんな提案をしたけれど


「でも、悪いからいいよ」


まぁ、解らない所を聞いて、パッと部屋を出て行けばいいだけの事。


だから、断る必要もないと思うんだけど……


何故か目が離せなくなった“蒼大”と呼ばれる、この男の人。


挨拶をしただけなのに、私の心は、今までに感じた事のないような感覚に包まれている。


自分がよく解らない。


そんな自分が嫌だから、断ったのに


「いいよ。繭花ちゃん、何処が解らないの?」


蒼大さんは、そう言って優しく微笑む。


その瞬間、私の心臓はドキッと飛び跳ねた。