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「───…ア、……マリア?」


肩を揺すられて、我に返る。

ぼけっとしている私の顔を覗き込んでいる魁さんを見て、ぱちぱちと何度か目を瞬いた。


「あ……」


いけない、いけない。

今は、魁さんと話しをしている最中だった。


「どうした?」


「……いえ、なんでもありません」


なんでもないと否定した私に、するりと伸びてきた大きな手が頬に触れる。


「なんでもない、って顔じゃないけどな」


「そんなに、酷い顔してますか?」


「顔色が悪い」


私の問いに答えると、親指で頬を撫でながら眉間に皺を寄せた魁さん。

心配してくれる彼に、まさか暁さんとのことを正直に話すことなんてできなくて。

どう答えて言いのか分からなくて曖昧に微笑めば


「俺のせい、だな……」


自嘲気味に言葉を吐き出して、深い溜め息を吐いた。