Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】




アル君が握り拳をつくったのが見えて、急いで逃げようとしたけど一歩遅かった。

踵を返して後ろを向いた瞬間、アル君に首根っこを掴まれた俺は慌てふためく。


「俺の顔を、台布巾なんかで拭きやがって!」


怒りの声と共に振り下ろされたその拳が、ゴツンと俺の脳天を直撃した。


「い゛っ……痛ぁーいっ!!!」


「誰がいけないんだ、誰が」


叩かれて頭を押さえる俺と、もう一発お見舞いしようと動くアル君の手。

ぎゃあぎゃあ、と喚く俺とアル君の動きをぴたりと止めたのは


「───うるさい」

「───うるせぇ」


きれいに被った、二つの低~い声だった。


「「……………………」」


声の主へと、無言で顔を向ける俺とアル君。

その視線の先には─────


「マリアが起きるだろうが」


マリアちゃんを抱っこした、すこぶる機嫌の悪い魁君と……

眉間の皺を寄せて仁王立ちしている大魔王様がいた。