そして、慌しく日本を飛び立っていった兄二人。
これで魁さんとゆっくり話が出来ると思っていたのに、午後からは結城家の用事があるらしくそれは叶わなかった。
その後も予定がなかなか合わなくて。
一度だけ10分くらい話す機会があったけど、その後は会うこともなく新学期を迎えてしまった。
「学校が始まる前に、ゆっくり魁さんと会いたかったな……」
久しぶりに歩く、一本道。
足早に向かっていた足取りは、段々と重くなる。
学校に行けば、当然顔を合わせるであろう“あの人”。
「はぁ……、どんな顔して会えばいいんだろう」
今のところ私の正体はバレていないはずだけど、詳しすぎる情報を持っている暁さんにバレてしまうのは、時間の問題なのかもしれない……。
遅刻ギリギリだというのに、早く学校に行こうという気にならなくて。
とぼとぼと歩いて、学校に着いたのは遅刻一分前。
ホテルのRest roomで彼女に言われた言葉を思い出しながら、教室へと向かう私の心の中は不安でいっぱいだった。