「いや、でも……私、自分のことは自分で出来るし、ランスロットさんがいなくなったら、マーク兄さん達が困っちゃうでしょ?」


イギリスでの生活を思い出して、なんとか一緒に連れて帰ってもらおうと慌てて意見するけれど


「屋敷の管理はネットがあれば何処にいても出来るし、今はランスロットが世話をする者もイギリスにはいないから問題無い」


マーク兄さんから返ってきたのは、覆ることの無い返事だった。


「そ、そうなんだ……」


……ど、どうしよう!!

ランスロットさんが日本に残るって事は、イギリスでの生活と変わらないってことだよね?

まさか、燕尾服のまま外を歩いちゃったりとかするのかな?


「……………………」


ダメだ……想像するだけで、頭が痛くなりそう。

頭をフル回転させて考えたけれど、マーク兄さんを納得させるだけの断る理由なんて思い浮かぶはずもなく……。


ランスロットさんの、日本滞在が決定したのだった。