そして、搭乗手続きを終えてそろそろ出発という頃。
「マリアの世話は任せたぞ、ランスロット」
「お任せ下さい、マーク様」
「ランスロットが一緒なら、安心して帰れるね兄さん」
「そうだな」
耳を疑いたくなるような会話が飛び込んできた。
「……………………」
……ちょっと、待って下さい。
私を挟んで、頭上で勝手に話を進めるのはやめてもらえませんかね?
「あの……、マーク兄さん?」
「どうした?」
「ランスロットさんが一緒って、どういうことかな?」
「最近は修も仕事が忙しいし、家を空けることも多くなると言っていたからな。ランスロットを日本に置いて行けば、お前も安心して生活できるだろう?」
「……………………」
安心……?
安心よりも、寧ろ緊張感でいっぱいで精神的に疲れるような気がするんだけど。