瞬間、一気に血の気が引いて行く。
マリアちゃんが来るのは大歓迎だけど、あの兄弟……特にマークさんが来るのは本当に勘弁。
マークさんとの初対面が、最悪だったせいもあるんだけど……
あの人、本っ当に苦手なんだよ!!
大体、いつもマリアちゃんの様子を見に日本に来ていたのはアル君だったのに、何で今回に限ってマークさんまでついてくるのさ?
年末なんだから、ウィンザー家のご当主様はイギリスでのんびりしていればいいじゃん!
頭の中で文句を言いながら、自分の気持ちを落ち着かせるために紅茶を一口含んだ時だった。
「───相変わらず、騒がしい奴だな」
……え?
この家に居るはずの無い人物に声を掛けられて固まった俺は
「……………………」
声のした方へと視線を向けたその先で、顔を顰めるアル君と目が合う。
……何で、もうアル君が此処にいるんだよ?
「慧?」
動かなくなった俺を覗き込んで、首を傾げるアル君だったけど……
「……………………」
更に視界の端に映り込んだ、オーラ全開の人物を認識した俺は
「……ぶはっっ!!!」
飲みかけの紅茶を、思いっ切りアル君の顔めがけて噴き出した。


