Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】




「確かに遅いな」


「メイク直しに、時間がかかってるのかもよ?」


時間を確認して同意したアル君に、一応思っていたことを伝えれば「それはない」と否定される。


「何で? マリアちゃんだって、メイク直しくらいするでしょ?」


何でそこまで断言できるのかと首を傾げれば


「マリアは自分でメイクしたことはないし、そもそもメイク用品なんて持っていないぞ」


驚きの答えが返ってきた。


「え? マリアちゃん、メイク用品持ってないの?」


嘘だろ!? って思ったけど……


「あぁ。普段はノーメイクだし、必要な時にはスタイリストがメイクしてるんだから必要ないだろ」


「…………ソウデスネ」


アル君の言葉で、イギリスでの彼女の生活環境を思い出す。

素朴な印象が強いマリアちゃんだから、忘れがちだけど……

彼女は、うちなんかが足元にも及ばないほどの財力を持つウィンザー家の令嬢だった。


確かに自分でメイクする必要がないんだから、メイク用品を持っていなくても納得だ。

でも……


「じゃあ、何で……」


こんなに遅いんだろう? と、続けようとした言葉は、魁君の動きによって遮られる。