だからと言って、いつまでも此処に籠もっていられるわけもなく……。
そろそろ席に戻らないと、心配した兄さん達が此処に乗り込んで来そうで、そっちの方が怖い。
「戻るしかないよね……」
結局どんなに考えたって、選択肢なんてものは一つしかなくて。
あの場に戻ることに躊躇している自分に、“周りを見なければ、視線なんて気にならない!”と自己暗示をかける。
それでも一向に出口へ向かおうとしない足を奮い立たせるように、両頬をぺちんと叩いたら……
い、痛い。
力加減を間違えて、地味に頬が痺れた。
たった数分の時間稼ぎにしかならなかったけど。
それでも、気合を入れなおす事はできた。
「よしっ!」
ふぅ、と一度深呼吸をして、やっと足が出口に向いた時……
“かちゃり”
六個ある個室の一つが鍵音を響かせて、ゆっくりとドアが動いた。


