Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】



だからと言って、いつまでも此処に籠もっていられるわけもなく……。

そろそろ席に戻らないと、心配した兄さん達が此処に乗り込んで来そうで、そっちの方が怖い。


「戻るしかないよね……」


結局どんなに考えたって、選択肢なんてものは一つしかなくて。

あの場に戻ることに躊躇している自分に、“周りを見なければ、視線なんて気にならない!”と自己暗示をかける。


それでも一向に出口へ向かおうとしない足を奮い立たせるように、両頬をぺちんと叩いたら……


い、痛い。

力加減を間違えて、地味に頬が痺れた。


たった数分の時間稼ぎにしかならなかったけど。

それでも、気合を入れなおす事はできた。


「よしっ!」


ふぅ、と一度深呼吸をして、やっと足が出口に向いた時……


“かちゃり”

六個ある個室の一つが鍵音を響かせて、ゆっくりとドアが動いた。