Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】



「何かされたのか」


「…え?」


一瞬、何を言われたのか分からなくて聞き返してしまったけれど。


「な、何もされていません! 魁の話を聞いて、私が勝手に泣いちゃっただけです!」


魁の眼力が鋭さを増して、お母様達の方に向けられたのに気づいて慌てて口を開く。


「は? 俺の話?」


視線を私に戻した魁にコクコクと頷くと


「……ちょっと待て。何で俺の話を聞いてお前が泣くんだ」


「え?」


「泣ける要素なんてどこにもないだろ」


心底分からないというように顔を顰める。


「どこにもと言われても……」


聞いた話全部に泣ける要素満載でしたが。


「全部ですけど」


きっぱりとそう言い切れば


「全部って……一体何の話を聞いたんだ」


怪訝な顔をするから。

皆の前で泣いた理由を話すのは、めちゃくちゃ恥ずかしいけれど。

今の体勢のままでいるのは、もっと恥ずかしいし。

魁に納得してもらわないと、この状況からは抜け出せそうにないのだから仕方がない。


……よし!

意を決して、一から説明しようとしたら


「やだ、マリアちゃん。そんな事で泣いてたの?」


ずっと様子を窺っていたお母様が、先に口を開いた。