「もう、お腹ぺこぺこだよー」と、食べる気満々でテーブルに向かう愛ちゃんとお父様に
「…今、お取り皿を持ってくるわ」
渋々告げたお母様は、溜め息を吐いてお皿を取りに歩き出す。
さっきまでのテンションと違いすぎるその後ろ姿を不思議に思いながら目で追っていたら
「母さんは、マリアちゃんとの時間を俺達に邪魔されて面白くないんだよ」
苦笑いを浮かべた煌さんが、そっと話しかけてくる。
「邪魔、ですか?」
「ずっとマリアちゃんに会いたがっていたからね。二人でゆっくり話したかったんだと思うよ。ああなるのが分かってるから魁も母さんが家に居る時は君を連れて来ないし、やっと会えたと思ったら俺達が押し掛けたから」
見た目と違って大人気ないでしょ?と、お母様を見る煌さん。
あのお母様が?
一見、厳しそうで冷たい印象を受けるお母様からは想像も出来ない。
けれど。
「……せっかくマリアちゃんに食べてもらおうと思って色々作ったのに」
お皿を持ったお母様が小さく呟いた言葉に「ね?」と、肩をすくめた煌さん。
「……………………」
ずっと。
子供が産めないかもしれない私なんて、歓迎されていないんじゃないかと思っていた。
だから、初めて会う今日は物凄く緊張していたのに。
「マリアちゃんは私の隣よ」
「私もマリアちゃんの隣がいい!」
その先で待っていたお母様と愛ちゃんが笑顔で迎えてくれる。


