「何かしら……」
それに気づいたお母様が、顔を顰めて入口に続く通路を見る。
つられて私も足音のする方へと視線を向ければ
「やっぱり、マリアちゃんだ!」
姿を現して駆け寄って来たのは、魁の妹の愛ちゃんで。
「こら、走ったらダメだろ」
続いて見えたのは、煌さん。
「そんなに急がなくても、マリアちゃんは逃げないよ」
更にその後ろからゆっくりと歩いて来たのは、魁のお父様だった。
「あら、皆してどうしたの?」
「今、お母さんの料理教室に、魁君の大事なお客様が来てるって慧君から聞いて急いで来たの」
マリアちゃん、会いたかったー!と、大きな瞳をキラキラさせて嬉しそうに笑う愛ちゃんは途轍もなく可愛い。
……慧さん、まだこの建物内に居たんですね。
「……で、貴方達は?」
「丁度お昼だから、一緒に食事でもどうかと……」
「一緒にって、そんなにお料理用意してないわよ」
「いや、あれだけあれば十分じゃないか?」
お母様の問いに、ニコニコと優しい笑みを浮かべながらテーブルに目を向けたお父様。
その視線の先には、とてもじゃないけど二人では食べきれないくらいの料理が並んでいる。
それこそ、5〜6人分は余裕でありそうな程に。


