「あなたと仮の婚約が決まってから、あの子は変わったもの」
「仮の、婚約…?」
思わず聞き返してしまった。
「仮」って何?
もしかして、今でも私はお母様達に本当の婚約者として認められていないのだろうか。
そう考えたら不安が押し寄せてきて、一気に血の気が引いていく。
「ええ。いきなり決まった婚約だったから、私達もびっくりしちゃって。それもイギリスから帰国した12歳の子供が決めた事なんて、すぐに解消してくれって言い出すと思うでしょう?」
そんな私に気づかないお母様は更に話を続ける。
「でも、私達の考えが間違っていたと気づいたのはそれから直ぐだったわ。それまで何に対しても関心が無かった魁が、貴方との婚約を認めてもらう為に必死だったから」
必死?
私との婚約を認めてもらう為に、お母様達に何か条件をつけられていたの?
「あ、あの…」
気になって、その先を聞こうとしたら
「貴方のお兄様に」
「…………え? お兄様?」
想像していた事と全く違う言葉が出てきて、思わずお母様を見たまま思考が固まった。
お兄様って、間違いなくマーク兄さんの事だよね?


