Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】



「あの子ったら、何度言っても会わせてくれないんだもの」


ぎゅうぎゅうと抱き締められ、全く動けない私を無視してテンションが上がる一方のお母様。


「でも、これでやっと邪魔されずに会うことが出来るわ!」


喜んでくださるのはものすごく嬉しいのですが、益々力が込められてきて上手く空気が吸えない。

く、苦しい……


「あ、あのっ!」


意を決して声を掛けると


「あら、ごめんなさい。私ったら、嬉しくてつい……」


我に返ったお母様が、「おほほ」と笑いながらやっと解放してくれる。

お母様にバレないように、大きく息を吸い込んでいれば


「慧のせいで少し予定が狂ってしまったけど、向こうに昼食を用意してあるの。食べながらゆっくり話をしましょう」


「は、はい」


奥の部屋にある窓際のテーブル席に案内された。

そこには所狭しと美味しそうなお料理が並べられていて。


「わぁ、美味しそう…」


胃袋を刺激する良い匂いが部屋の中に広がっていた。


「今日は味見をしてもらって、実習は来週からよ」


「はい、よろしくお願いします!」


それから始まったランチタイムは怒涛の質問攻めで。


「聞きたい事はたくさんあるけど、これだけはどうしても聞きたかったの」


「何でしょうか」


何を聞かれるのかと背筋を伸ばして構えていたのに


「あの子といて楽しい?」


「はい?」


真剣な顔で口を開いたお母様の最初の質問がそれだった。