そんな訳で料理教室に通うことを決心した私は、早速どこにしようかと探し始めたのだけど。
「料理教室を探してるの?」
「はい」
学校帰りに立ち寄った近所の本屋さんで、意外な人物と会った。
「だったら、いい所があるよ」
「本当ですか、慧さん!」
料理教室を探している事を伝えたら、お勧めの教室があると言う。
「うん。空きがあるか確認してみるから、ちょっと待ってね」
そう言って、どこかに電話をかけ始めた慧さんは
「ほんと? うん、分かった。マリアちゃんに伝えておくよ」
恐らく料理教室の方と思われる人と親しげに会話を済ませると
「お待たせ、マリアちゃん。料理教室の空きあるって!」
ピースをして、ニカッと笑う。
「え、本当にいいんですか!?」
「もちろん! 料理の腕前はピカイチだし、お金もかからないし。何しろ、マリアちゃんにめちゃくちゃ会いたがってたから大歓迎だって」
ん? お金がかからない?
それに、私にめちゃくちゃ会いたがってたって……
「あの……お金がかからない料理教室なんてあるんですか?」
一体、どんな所なんだと思っていれば
「あー、マリアちゃんは特別だよ。うちの母親がやってる料理教室だからねー」
「え……?」
慧さんが紹介してくれたのは、まさかの魁のお母さんが経営している料理教室だった。