「結婚したら料理を作ることになるんだから、なんとかしておかないとあんた達二人ずっと外食かテイクアウトになるわよ」




「今から特訓して、なんとかなるかな……?」




私としては、非常に不安なのですが。




「そうねぇ……まぁ、何もしないよりはマシなんじゃない? 結婚するまでのタイムリミットは刻一刻と迫ってきているんだから、少しでも早く始めた方がいいと思うけど」




「……そうだよね。うん、やってみる!」




綾ちゃんのその一言で今更ながら危機感を覚えた私は、せめて簡単な手料理だけでも作れるようにと、料理教室に通うことを決めた。



だって、魁にずっと外食なんてさせられないもん!!



すっかりやる気になっていた私は




「でも、あの男の家に嫁ぐなら、専属のシェフでもつけてくれそうだけどね」




という綾ちゃんの呟きは耳に入ってこなかった。