「私、明日から無事教室に辿り着けるのかな……」
長瀬さんの言葉で不安になってしまったけれど。
「明日から、これを持っていきなさい」
そう言って渡されたのは、一枚の紙。
「これは?」
「昇降口から、あんたの教室までの地図よ」
「……地図?」
その紙を受け取って広げてみれば
「これがあれば、間違いなく教室に辿り着けるから」
昇降口から教室までを赤い線で引いてある、もの凄く細かく描かれた地図だった。
「ありがとう、綾ちゃん」
綾ちゃん、貴方は私の女神様です!
「いい? これは教室までの地図だから、移動教室の時はボーっとしてないで、ちゃんと皆んなについて行くのよ」
「はいっ!」
綾ちゃんの言葉にコクコクと頷いで、もらった地図を大切に鞄の中に入れる。
知らない人が聞いたら、まるで幼稚園児に言い聞かせているような内容だけど。
私も綾ちゃんも決してふざけているわけではない。
全ては、私の酷すぎる方向音痴がいけないのだ。
「取り敢えずは、慣れるまで少し早めに家を出なさいよ」
「うん。そうする」
また学院内で迷子になったら笑いものになってしまう。
それだけは避けたい。
「じゃあ、また明日ね」
「うん、また明日!」
家の近くの交差点で手を振って笑顔で別れる。
これで教室には迷わずに行かれると安心していたけれど、この時もう一つ大切なことを私は忘れていたのだった。


