「……できにくい?」
“ 出来ない ” の間違いじゃなくて?
「そう。マリアは、子宮と卵巣の機能に少し問題があってね。普通の女性より子供ができにくい」
「そう、なんだ……」
マーク兄さんの説明を聞いて、少しホッとしたのは一瞬だった。
その後に続いた言葉に、自然と目線が下がってしまう。
私が妊娠する確率は、普通の女性よりもかなり低いらしく。
お医者様の診断は「不可能ではないけれど、少し難しい」
それを聞いて、まず最初に思ったのは……
魁さんは、こんな身体の私で本当にいいのだろうか?
結婚したら、やっぱり子供が欲しくなるよね?
その場には兄さん達がいたから、それ以上は聞けなかったけれど。
今だったら、魁さんの本音が聞けるかもしれない。
「この間、改めてマークさんに聞いたんだ。子宮と卵巣の機能の問題が何なのか」
「……機能の問題?」
「あぁ。マークさんは、マリアの子宮と右側の卵巣にダメージを受けているからだと言っていた」
ツー、と指先を滑らせながら
「ここ、だろ」
傷痕の端から端を確かめた。


