Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】



「……できにくい?」


“ 出来ない ” の間違いじゃなくて?


「そう。マリアは、子宮と卵巣の機能に少し問題があってね。普通の女性より子供ができにくい」


「そう、なんだ……」


マーク兄さんの説明を聞いて、少しホッとしたのは一瞬だった。

その後に続いた言葉に、自然と目線が下がってしまう。

私が妊娠する確率は、普通の女性よりもかなり低いらしく。

お医者様の診断は「不可能ではないけれど、少し難しい」

それを聞いて、まず最初に思ったのは……

魁さんは、こんな身体の私で本当にいいのだろうか?

結婚したら、やっぱり子供が欲しくなるよね?

その場には兄さん達がいたから、それ以上は聞けなかったけれど。

今だったら、魁さんの本音が聞けるかもしれない。


「この間、改めてマークさんに聞いたんだ。子宮と卵巣の機能の問題が何なのか」


「……機能の問題?」


「あぁ。マークさんは、マリアの子宮と右側の卵巣にダメージを受けているからだと言っていた」


ツー、と指先を滑らせながら


「ここ、だろ」


傷痕の端から端を確かめた。