「……え?」


この傷が?


「最初に俺がマークさんから聞いていたのは、お前が子供のできにくい身体だということだけだった」


そう。私の身体は “ 子供が出来ない ” んじゃなくて、“ 子供ができにくい ” 。

暁さんに拉致された、あの日。

私の身体は子供が出来ないと言われてから、ずっと気になっていて。

退院間近になったある日、魁さんと兄さん達が揃っていた時に思い切って聞いてみたのだ。


「ねぇ、マーク兄さん。私は、子供が産めない身体なの?」


私の言葉に、珍しく驚きを隠せないマーク兄さんを見た。

それを見て、やっぱりそうなんだ……と絶望に染まりそうになった時。


「マリアは、子供が出来ないわけではないよ」


「……え?」


頭上から降ってきた声に、下がりかけていた視線を勢いよく向ければ


「子供が出来ないんじゃなくて、出来にくい身体なんだ」


哀れみを堪えた瞳と目が合った。