喉元を擽っていた唇が、ちゅっと音を立てて離れていく。
恥ずかしくて閉じていた瞼を持ち上げると、目の前には私の様子を窺うようにのぞき込んでくる超絶美形が。
「───嫌か?」
「ち、違いますっ!」
私に拒否されたと思ったのか、傷ついた……ように見えた魁さんに間髪入れずに答えれば
「じゃあ……」
何で、と言葉が続く前に理由を伝える。
「は、恥ずかしいんです。私の身体、綺麗じゃないから……」
「綺麗じゃない?」
「身体中痣だらけだし、傷もあるし……」
そう、私の身体は綺麗じゃない。
イギリスのスクールに通っていた時の傷や、色素沈着してしまった古い痣。
それに今回拉致された時にできた新しい痣もある。
普通の女の子のように、好きな人に見せられるような身体じゃないから。
恥ずかしくて、無意識に魁さんの手を止めてしまった。
そう伝えたのに……
「ぎゃっ」
魁さんは、私が掴んでいた手と反対の手で浴衣を剥ぎ取った。


