何かをごにょごにょと呟いた後、近づいてきた整った顔。

条件反射で瞼を閉じる直前に見えたのは、一瞬だけ鋭さを帯びたダークブラウンだった。

真っ暗になった視界の中で感じるのは、柔らかい唇の感触と優しく頬に触れる大きな手の温かさ。

ちゅ、と触れるだけだったキスは、あっという間に息もできないほどの激しいものに変わっていく。

さっきの行為で乱されていた呼吸が、やっと落ち着いたと思ったのに。

苦しいぐらいに唇を貪られて、酸素が足りなくなる。

再び意識が朦朧としてきた頃。

苦しくて魁さんの浴衣を握る手にきゅっと力を込めたら、やんわりと手首を掴まれて頭上に固定された。

ゆっくりと唇が離れた瞬間に、呼吸を整えようと必死に息を吸い込んでいたら。

はあはあと荒い呼吸を繰り返す私を、息一つ乱していない魁さんが上から見下ろしていて。


「……やべぇ。夢中になり過ぎて、また気絶させるところだった」


壮絶なまでの色香を放ちながら苦笑いを浮かべると、掴んでいた手首を放して首筋に顔を埋めてきた。