───え? 私、今夜は寝かせてもらえないの?
初体験の私に、それはかなり無理があるのでは?
「あの、初心者なのでお手柔らかにお願いしたいんですが……」
恐る恐る気持ちを伝えてみれば
「……善処する」
何とも心許ない答えが返ってきた。
「そこは、わかったと言ってくれないんですか」
「わかったと言ってやりたいが、俺も初心者だから加減がわからねぇ」
「……………………」
……ですよね。
12歳で私と婚約しちゃってるんだから、普通に考えたら魁さんも初心者なわけで。
魁さんならば “ わかった ” と言ってくれるはずだと、勝手に思っていた。
頬を引き攣らせながら、これから起こることを想像してみたけれど。
「これを見て、少しは勉強しなさい」と、綾ちゃんに貸してもらった少女漫画しか読んだことのない私には、朝まで何をされてしまうのか全く想像できなかった。
だって、漫画は部分的にしか描かれていなくて。
何ページか進んだらその行為が終わってるんだもん!!
そして、それが朝まで何時間も続くとはとても思えない。
「だが、今日こそは寝かせないように加減する」
これ以上お預け食らったら、抱き潰しちまう自信があるからな。という魁さんの言葉は、緊張の極限にいた私の耳に聞こえることはかなった。