「……えっと、あの、は……」
ショート寸前の思考回路で、なんとか答えようとする前に
「んぅっ…」
再び降ってきた唇に呼気を塞がれた。
……待って、魁さん! 私、まだ返事してないよっ!!
ちゃんと答えたかったのに、「はい」という言葉は魁さんの口腔内へと飲み込まれ。
優しく啄むだけだったそれが、深いものに変わっていくのに時間はかからなかった。
もう何度も魁さんとキスをしているのに、やっぱり上手く鼻呼吸が出来ない私。
息を吸い込もうと口元を緩めた拍子に、潜り込んできた魁さんの舌に自分のそれが絡めとられた。
そんなことをされたら、いつどうやって呼吸をすればいいのか益々わからなくなってくるのに。
とうとう呼吸困難に陥り掛け、がくりと足から力が抜けた瞬間。
腰に回された腕に、グイっと力強く身体を掬い上げられた。
普段とは違う目線の高さと突然の浮遊感に、思わず目の前にあった魁さんの浴衣にしがみつく。
驚いて顔を上げたら。
そこには、先ほどよりも獰猛な光を宿したダークブラウンが私を映していて。
「──ベッドへ行く」
少し余裕のなさそうな低音が、耳元に響いた。