結束バンドで拘束されていたところには、今も皮膚が剥けて紫に変色した痣があって。

なかなか消えないそれが目に入る度に、あの事件のことが頭の中に浮かんでくる。

今、その痣を見ている魁さんも同じことを思っているのだろうか。

あの時。

魁さんが来てくれなかったら、私はどうなっていたのだろう。

今頃は薬漬けにされて、暁さんのお父さんによって何処かの風俗に売り飛ばされていたのかな……

もう一つの結末を想像したらゾッとして体が震えた。

それに気づいたからなのか


「だから、もう一人で行動したりするなよ」


その声にハッとして上を向けば、痣を見ていたはずの魁さんが私を見ていて。


「二度と、お前の身体にこんな傷なんてつけさせない」


持ち上げた手首の痣に唇を寄せて、チュッと音を立てた。

瞬間、ボンっと音を立てたように顔が熱くなる。


「か、魁さんっ!?」


突然の行為に驚いて、思わず声が裏返ってしまったけれど。


「もう、あんな思いをするのはごめんだ」


「あ……」


私を映したままのダークブラウンの瞳が近づいてきて、言葉を発しようとした唇を塞がれた。