Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】




「イギリスの、貴族……?」


という事は、この部屋にマーク兄さんも泊まったことがあるのだろうか。

なんて思っていたのだけれど。


「この部屋に見覚えは?」


「……え?」


魁さんから問いかけられて、私?と首を傾げてしまう。

だって、日本に来てから外泊したのは、インフルエンザに罹った時に泊まった魁さんの家だけで。

初めて泊まる旅館に見覚えなんてあるわけが……


「あ、れ……?」


何だろう?

ある一角を視界に捉えた時、不意に懐かしさを覚えて。


……私、この部屋を知っている?


もう一度、ゆっくりと見渡してみれば。

この部屋の所々には、なんとなく見覚えがあった。


「……………………」


私の正面に見える、丸い小窓も。

隣のリビングにある、本物の暖炉も。

そして。

今は障子で閉じられているけれど、あの奥にはきっと大きな窓が一面に広がっているはずだ。

そう確信して、胸が震えた。

……何で、今まで気が付かなかったんだろう。


この部屋を、ずっと前から知っていたのに。