Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】






手入れの行き届いた、ホテルのお手洗いの中。


「───はぁ……」


鏡に映る自分の姿を見て、無意識に零れた溜め息が耳に木霊する。


───つ、疲れた……


体力的というよりも、主に精神的に。

自分の洋服を買うだけで、何でこんなに疲れるのだろうか。




あの後……

皆で雑談をしながら、お茶をして。

今、北海道にいる修さんが大雪で帰ってこれない事。

修さんが帰って来るまでは、魁さんの家にお世話になる事を告げられた。


今回は兄さん達も一緒だったから、日本に帰って来ても魁さんとはしばらく会えないだろうと思っていた私。

それを聞いた瞬間、隣に座る魁さんを凝視してしまった。


……本当に?

そんな私の強過ぎる視線に気づいた魁さんは


「そういう事だ」


「うぐっ……」


持っていたマフィンを私の口に押し込むと、その頬を緩めた。