Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】





あんなに「食べたい!」と騒いでいた本人が忘れていたのに、魁さんは覚えていてくれたんだ。


「……………………」


嬉しいな。

魁さんの優しさに胸がぽかぽかと温かくなるのを感じながら、私もアップルパイを口に運ぶ。


……んん~っ!


「美味しいっ!」


サクサクのパイとリンゴの爽やかさに、バニラの甘味が加わって。

更にフルーツソースをつけて食べると、また味が変わる。

ひと口食べる度に変わる絶妙なハーモニーのアップルパイは最高に美味しかった。




「もっと食ってもいいぞ」


あっという間に完食してしまった私を見て、メニューを差し出してくる魁さん。


「え、もう充分です」


「もっと食いたいって顔してる」


にやりと悪戯っぽく笑って、「次はこのケーキ食えば?」なんて言いながら美味しそうなイチゴのケーキを指差す。

なんて美味しそうなケーキなの……

一瞬、悪魔の誘惑に負けそうになったけれど


「う……もうちょっと食べたいなって思いますけど、クリブデンの二の舞になるのは嫌なので……」


「あー、確かにな」


苦い過去を思い出して、思わずテーブルの下で下腹を押さえてしまう。

魁さんもあのアフタヌーンティーを思い出したのか、苦笑いでメニューを引っ込めた。


───彼氏とのデートなのに、下腹ぽっこりなんて絶対ダメっ!