「こちらがアップルパイのバニラアイス添えと、ダージリンのファーストフラッシュでございます」
プレートが、目の前にそっと置かれる。
「わぁ、可愛い……」
それを凝視して、感嘆の溜め息を吐いた。
私の目に映るのは、バラの花をイメージしたアップルパイとドレッサージュされたハートの模様のフルーツソース。
……ん?
「あれ……?」
このアップルパイ、どこかで見たような……
うーん、どこでだっけ?
疑問を自分に問いかけていれば
「このアップルパイが食いたかったんだろ?」
「え?」
「前に慧と二人でスイーツの本見ながら、これは絶対食べてみたいって連呼してただろ」
「あっ!」
思い出した!!
まだ顔の痣が消えていなかった頃にお見舞いに来てくれた慧さんが、スイーツ特集の雑誌を持ってきてくれて。
どれも美味しそうだったスイーツの中で、目に留まったのがこのアップルパイだった。
ただ、テイクアウトができるものではなく。
お店の場所も遠いから行かれないな、と諦めていたのだけど。
「もしかして……これを食べさせてくれるために、デートの場所を箱根にしてくれたんですか?」
私の質問には答えず、口角を上げた魁さんは
「早く食わないと、冷めちまうぞ」
ナイフで切ったアップルパイをぱくりと食べた。


