その後は来た時と同じようにロープウェーで山を下りて、近くにあった水族館へと足を向けた。
入り口を潜り最初に目に入ったのは、大きな水槽の中で泳ぐ大小さまざまな大きさの魚たち。
思わず駆け寄った丸いガラスの向こう側には、幻想的な世界が広がっていた。
「わぁ……」
その中でも目を奪われたのは、鰯の大群で。
向きを変える度にキラキラと光るその動きに、しばらく時間を忘れて見入っていた。
……凄い。
前にテレビの番組で見たのと同じ光景が広がっている。
まるで自分も水の中にいるような、不思議な感覚。
初めて目の前で見るその世界は、とても綺麗だった。
「私、水族館って初めて来ました」
鰯を見たままポロリと零れた言葉に
「初めて……?」
魁さんの視線を感じたけれど、私はそのまま口を動かす。
「はい。父は仕事が忙しくて家にいないことも多かったし、母は私と同じく方向音痴だったので……二人だけで遠出はできなかったんです」
「兄貴達とは、行かなかったのか? イギリスにも水族館はあっただろ?」
「イギリスでは、出掛けること自体あまりなかったので……」
「……そうか」


