Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】





その後は来た時と同じようにロープウェーで山を下りて、近くにあった水族館へと足を向けた。

入り口を潜り最初に目に入ったのは、大きな水槽の中で泳ぐ大小さまざまな大きさの魚たち。

思わず駆け寄った丸いガラスの向こう側には、幻想的な世界が広がっていた。


「わぁ……」


その中でも目を奪われたのは、鰯の大群で。

向きを変える度にキラキラと光るその動きに、しばらく時間を忘れて見入っていた。


……凄い。

前にテレビの番組で見たのと同じ光景が広がっている。

まるで自分も水の中にいるような、不思議な感覚。

初めて目の前で見るその世界は、とても綺麗だった。


「私、水族館って初めて来ました」


鰯を見たままポロリと零れた言葉に


「初めて……?」


魁さんの視線を感じたけれど、私はそのまま口を動かす。


「はい。父は仕事が忙しくて家にいないことも多かったし、母は私と同じく方向音痴だったので……二人だけで遠出はできなかったんです」


「兄貴達とは、行かなかったのか? イギリスにも水族館はあっただろ?」


「イギリスでは、出掛けること自体あまりなかったので……」


「……そうか」