魁さんが歩き出せば、手を繋がれている私の足もつられて動き出す。
今も油断していると、吹き飛ばされそうな強い風が吹きつけてくるけれど。
しっかりと絡めとっている大きな手が、それを阻止してくれていた。
それにしても。
山頂が、こんなに寒いとは思わなかった。
地上では日も差して、柔らかな陽気に包まれていたというのに。
此処は、冬の嵐のように寒い。
出がけに魁さんが、「厚手の上着を持って行け」と言った意味が今わかった気がする。
玄関を出た時。
少し暑いなぁ…と感じるくらいの気候だったから、何でだろう?と思っていたけれど。
あれは、バイクに乗っている時に寒いからというよりも、この山頂が寒すぎるからだと。
私の歩調に合わせて隣を歩いてくれている魁さんを、ちらりと見上げれば……
そこには、いつもと変りなく完璧に整った綺麗な横顔があって。
一見、冷たそうに見えるその容貌は
「どうした?」
私を視界に捉えると、柔らかく表情を緩める。


