ド派手にコケる姿を想像しながら、ぎゅっと目を瞑ったのだけれど。
それとほぼ同時に、腰に回された力強い腕に引き寄せられる。
後頭部が、ぽすんと何かにぶつかって。
そっと目を開けて見上げてみれば
「山頂は風が強いから、油断してると転ぶぞ」
傾いた体を優しく支えてくれていたのは、やっぱり魁さんで。
「すみません……」
毎度のことながら、本当に申し訳ございません。
一緒に出掛ける度に転びそうになる私に、さぞ呆れ返っているだろうと思っていれば
「やっと治ったのにまた怪我なんてしたら、イギリスから血相変えたマークさんがすっ飛んでくるぞ」
苦笑いで恐ろしいことを言い出す魁さん。
私がまた怪我をしたら、マーク兄さんが……?
「……………………」
……うん。
本当にありそうで、怖いんですけど。
「それは、困ります」
そんなことになったら、今度こそイギリスに強制送還されちゃうっ!
自分でもわかるくらいに、顔を引き攣らせていれば
「だから、一人で先に行くんじゃない」
腰に回されていた腕が離れ、するりと指を絡めとられた。


