その後ろ姿を、呆然と見送っていたのだけれど。
「……今、何時っ!?」
ハッとして壁に掛かっている時計を見れば、針は10時を回っていて。
「う、嘘でしょ!?」
まさかの時間に、卒倒しそうになった。
デートの日に彼女が寝坊だなんて、あり得ない。
「急いで、支度しなきゃっ!」
それからの、私の動きは速かった。
慌ててクローゼットを開いて、昨夜のうちに決めておいた服を引っ張り出す。
きっと、自身最速の速さで着替えられたと思う。
姿鏡の前で全身をチェックして、いざ部屋を出ようとドアを開けて飛び出そうとしたところで
「淑女たるもの、いきなり部屋から飛び出すものではありませんよ」
「うわっ!」
本日も完璧な執事様が、眉間に皺寄せて目の前に立っていた。
「それに、まだ支度は終わっていません」
その手に、大量のメイク道具を持って。


