Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】





その後ろ姿を、呆然と見送っていたのだけれど。


「……今、何時っ!?」


ハッとして壁に掛かっている時計を見れば、針は10時を回っていて。


「う、嘘でしょ!?」


まさかの時間に、卒倒しそうになった。

デートの日に彼女が寝坊だなんて、あり得ない。


「急いで、支度しなきゃっ!」


それからの、私の動きは速かった。

慌ててクローゼットを開いて、昨夜のうちに決めておいた服を引っ張り出す。

きっと、自身最速の速さで着替えられたと思う。

姿鏡の前で全身をチェックして、いざ部屋を出ようとドアを開けて飛び出そうとしたところで


「淑女たるもの、いきなり部屋から飛び出すものではありませんよ」


「うわっ!」


本日も完璧な執事様が、眉間に皺寄せて目の前に立っていた。


「それに、まだ支度は終わっていません」


その手に、大量のメイク道具を持って。