「───で、春休みの予定は?」


湯気の立ち上る美味しそうなオムライスが運ばれてきたところで、目の前に座る綾ちゃんが声を掛けてきた。

午前中の授業が終わって移動した食堂は、大勢の生徒たちで賑わっていて。

今日は天気も良く、人気のあるテラス席は既に満席。

そんな中、一番奥の壁際の席に座っていた私たちの周りには、まだ空席がある。


「春休み?」


「そう、春休み」


普段ならば、あまり見ない光景なのだけれど。

明日からは午前授業になるので、今日は今学期最後のランチタイム。

その最後のランチに、学院側からのプレゼントで振舞われたデザートビュッフェは、有名なパティシエの新作らしく。

デザート目当てに、カウンターの周りの席に集中して座っている生徒たち。

だからなのか。


「やっと怪我も治ったんだし、結城と何処かに行く予定はないの?」


普通に魁さんの名前を口にして、興味深げに聞いてくる綾ちゃん。