ベッドの上で俺と同じように二人の会話を聞いていたマリアは、自分に向けられた視線に気づくと
「……穏やかな生活なんて、いらない」
兄さんの顔を真っ直ぐに見て
「日本で、普通の高校生活を送りたいだけなの」
もう一度、はっきりと自分の気持ちを伝える。
修が二人の間に入ったからなのか、落ち着きを取り戻したマリア。
「私の望みは、魁さんの傍にいること。それだけが、私の幸せだから」
そう告げた妹の顔は、今までに見たこともないような表情で。
「だってさ」
「……………………」
変わり果てた姿で泣いていた、あの時。
この先もずっと、兄さんと二人で大切に守っていこうと誓った小さな女の子は、いつの間にか一人の女性へと成長していた。


