Wonderful DaysⅢ【野いちごバージョン】




その様子を見て

───あ、ダメだ……と思った。

一度こうと決めたら、人の意見を聞かない兄なのに。

沈黙を続けるのは、修の考えに納得しているということだ。


「マリアは、今後も俺が預かるよ」


その兄さんに


「修……」


「心の許せる友達もできて、やっと日本で高校生らしい生活を送れているんだ。その幸せを壊す資格は、誰にも無いよ。結城君や友達の話をするマリアがどんなに嬉しそうにしているか、君達兄弟だって十分すぎるくらい知っているだろう?」


「それは、知っている」


「だったら、今マリアを連れて帰るべきじゃないって事は、わかっているよね?」


優しく諭すように言う修。


「……………………」


「可愛い妹を守りたいって気持ちは、よくわかるよ。君が本気になれば、それこそ誰の目にも触れさせずに、一生穏やかな日々を送らせてあげることだってできるだろうけど」


彼の言っていることは正しい。

この兄ならば、それが可能だから。


「でもマリアは、それで本当に幸せなのかな?」


それは、兄さんだけに向けた言葉ではなかったようで。

マリアに問うように、首を傾げる修。

自然と、兄さんと俺もマリアに視線を向ける。