意外と頑固な妹を、どうやって説得しようかと頭を悩ませていれば
「マークもマリアも、二人してなにをそんなに騒いでいるんだい?」
開いていたドアの隙間から、ひょっこりと顔を覗かせたのは修で。
仕事から帰って来たばかりなのか、シックなグレーのスーツを身に纏い、手にはA4サイズの封筒を持っていた。
「修」
「修さん……」
入口から一番近い所にいた俺に視線を向けた後、続いて二人の顔を交互に見た修は
「おかえり、修」
「ただいま」
声を掛けた俺に向かって微笑むと、ゆっくりと部屋に入ってくる。
「……おかえりなさい、修さん」
「ただいま、マリア」
強張った顔のまま声を掛けたマリアを見た彼は
「朝よりも、随分と顔色が悪いね。ちゃんと寝てないとダメだよ?」
心配そうに顔を覗き込んで、頭を撫でた後
「───で、マークは何をしているんだい?」
今まで浮かべていた笑顔を引っ込めて、冷たい眼差しを兄さんに向けた。


