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(side:アルバート)
向かい合う二人の様子を、固唾を呑んで見守る。
「……私は、絶対帰らないっ!!」
「マリア」
日本に残りたいと必死に訴える妹と、何としてでもイギリスに連れて帰ろうとする兄。
先程から、二人の意見は平行線だ。
これほど危ない目にあったのに、頑なに日本に残りたいと言うマリア。
その顔色は未だに悪く、殴られた痣は痛々しい。
「日本にいたら、直ぐに助けに行かれないんだぞ」
兄さんの意見には、俺も賛成だ。
万が一、またこんな目にあわされてしまったらと思うと、とてもじゃないが可愛い妹を日本に置いてなんていかれない。
「それはイギリスにいたとしても変わらないよ! マーク兄さんは仕事でイギリスにいない事も多いし、アル兄さんだってずっと屋敷にいるわけじゃないでしょう?」
そんな俺達二人の思いに反して、首を縦に振らないマリア。


