「え?」


私が、迷子になるとでも思っていたのかな? なんて思っていれば


「そんな格好でウロついてると、襲われるぞ」


魁さんの口からは、思いもしなかった言葉が飛び出した。


「……………………」


……襲われるって、誰に?


「あの~……ここって、魁さんのお家ですよね……?」


「あぁ」


「魁さんのお家で、一体誰に襲われるというんでしょうか……」


素朴な疑問。

インフルエンザの時もお世話になったけど、魁さんのお屋敷はセキュリティー万全で、変質者が簡単に入って来れるとは思えない。

それこそ、そこら辺のホテルよりもよほど安全だと思うんだけど……

首を傾げる私に告げられたのは


「慧」


「慧さん、ですか?」


慧さんの名前だった。


「あいつは、節操が無いからな。そんな格好でフラフラしてたら、間違い無く近くの部屋に連れ込まれるぞ」


「……………………」


実の弟に、ここまで言われるなんて。

どんだけ信用が無いんですか、慧さん……