それは、向かいに立っていた蓮も同じだったようで。
俺と視線を合わせると、無言のまま横に一歩移動する。
周囲の目から死角になった瞬間を狙って、利き腕の左拳を思い切り女の鳩尾に打ち込んだ。
「……っぐ」
苦しそうに呻く暁は口をパクパクと動かすが、声が漏れることはなかった。
「…かっ、は……」
俺の拳を受けても気絶しなかったのは、打ち込むポイントをほんの少しずらしたから。
気絶なんてさせるかよ。
「本当なら此処にはいない魁が、てめぇをぶん殴ってるところだ。魁も俺も蓮も、女を殴るなんてしたことねぇが、てめぇがマリアちゃんにやったことだけは絶対に許せねぇ」
この女には、どうしても言っておきたいことがあるんだ。


