「そこに薬が落ちてるなら、飲んでないんだから問題ないじゃない」
「ふざけんじゃねぇぞ、このクソアマっ!」
悪びれる様子もなく言い捨てて、そっぽを向く女に怒りを露にする蓮。
───あぁ……今すぐ、この女を殴り飛ばしてやりたい。
込み上げてくる気持ちを抑えながら、急いでスマホの画面を開く。
頼むから早く出てくれ!という願いが通じたのか
『───どうした』
コール音が鳴る前に聞こえてきた、焦りの混じった声。
普段はあまり耳にすることのない声音に、彼女の具合がさっきよりも悪くなっているのだと予想がつく。
「魁。マリアちゃんの容態が急変したのは、薬のアナフィラキシーかもしれない」
急いで要件を伝えれば
『……薬?』
「あぁ、そうだ。俺達が到着する前に薬を飲まされた形跡がある」
イラつきを抑えない、盛大な舌打ちが聞こえてきた。


