「マリア!!」
彼女の名前を呼びながら、胸ポケットから取り出したスマホで急いでどこかに電話を掛ける魁。
「俺だ。響、お前今何処にいる」
どうやら、会話の相手は響さんのようで。
「ちょうどいい。マリアの意識がないんだ。救急車を呼ぶよりも、お前の所に言ったほうが早い。すぐに行くから、絶対にそこを動くなよ!」
動くなと念を押して通話を終了させると、ぐったりとしたマリアちゃんを抱き上げた。
「葵、車借りるぞ」
「え? おい、魁! この女はどうすんだよ!?」
今にも飛び出して行きそうな魁に、慌てて声を掛ければ
「サツに引き渡しとけ。その後の事は、手配済みだ。間違っても逃がすんじゃねぇぞ」
俺にも念を押した後、あっという間に部屋を後にしてしまった。